音楽と食べることで世界は回る

音楽と食がたぶん普通の人よりも好きです。

「TOGENKYO」へ、フレデリックと一緒に。

フレデリックというバンドの最近について書きます。

 

今のロックシーンに欠かせない存在となっているフレデリック、私が彼らの魅力に気づいた2016年春頃は、もちろん加速していたものの、まだここまでの人気ではなかった。

チケットは一般発売開始後でも余ってた。

CD購入の特典がサイン会だった。(今じゃ人数多くてほぼほぼないです、、、)

 

神戸を拠点に活動していた4ピースバンド。正確には3ピースになったり新しく加入したりといろいろあったわけだけど、それはどこか別のところで読んでください。

私が彼らに出会ってから、まだたったの1年と半年。

この短い期間に、フレデリックは恐ろしいほどの進化をしてる。

音楽的にも。自信も、オーラも。

 

ライブひとつひとつ、確実に成長して見せつけてくる。

フレデリックには必ず驚かされる。

でも、絶対にオーディエンスを置いてけぼりにはしないバンド。

 

都心のチケットがだんだんとれなくなってきた。

リリースイベントの参加人数が増えてきた。

テレビもラジオも露出が増えた。

私の周りでも、明らかに「フレデリックいい!」と言う人が増えてきた。

 

これはとっても嬉しいこと。バンドは売れなきゃ死ぬから。

死ぬんだよ。音楽を発信していくのも、人生かけてるんだよ。

 

私は「売れてきたからもういいや」ってタイプじゃないので心から喜んでいるのだけど、まあたしかに一抹の寂しさはある。でも、昔から「家族のようなバンドでありたい」「フレデリックを見つけてくれた人も家族」と言ってきている彼らだから。

一気に売れて不安や寂しさを感じるであろうファンに向けて、このドンピシャのタイミングでしっかりとメッセージを届けてくれた。それが、先日行われた「フレデリズムツアー2017~僕のTOGENKYO~クアトロ編」だった。

 

そもそも、フレデリックはこのクアトロ編を含め、大きく4種のワンマンを実施予定。

「僕のTOGENKYO(クアトロ東名阪)」「ぼくらのTOGENKYO(ツアー本編)」「みんなのTOGENKYO(新木場2days)」「KOKYOのTOGENKYO(神戸ワールド記念ホール)」と一連のツアー予定が組まれているのだけど、これらがどんなストーリーで展開されていくのか全く読めていなかった。

これが「僕のTOGENKYO」で少し見えた、という感じ。

 

これはきっと。フレデリックの歴史を辿り、会場はだんだん大きくなり、最後の故郷、神戸ワールド記念ホールでの初のアリーナ公演までしっかりみんなを連れて行くためのツアー。

誰ひとりおいていかないと、彼らは決心しているのだと思う。それくらいの気迫と、愛に満ちたライブだった。心が震えた。「かっこいい」とか「楽しい」とか、そんなもんじゃなかった。

 

「全部リセットするわけないわ。ぜんぶ背負ったまま。」

クアトロで伝えたかったのはこれだと思う。

 

言葉でいうだけよりも、音楽に乗せた方が伝わることもある。そしてCDで聴くだけじゃわからない、心の動きがライブハウスにはある。一緒にその空間にいなきゃわからない感覚。

フレデリックのライブは凄いです。心の距離がゼロに感じる瞬間が幾度となく訪れる、そんなライブ。

 

健司さんの一言、私はずっと忘れないと思う。

「俺らは遠くにいかないから。ずっと近くにいるから。」

たしかに会場は大きくなって、物理的には遠くなるけど、こんなに丸腰の心をぶつけられたら、やっぱりフレデリックは近くに寄り添ってくれるバンドなんだと、痛いほど感じさせられる。

 

クアトロの東名阪を大成功に終え、これから4人は半年間の長い旅に出る。みんなと一緒に、一歩ずつ着実に前進していく。

僕らは、見えない未来を信じてる。

 

「TOGENKYO」という最高の曲ができたから、彼らは自信を持って進めるし、私たちもきっと安心して一緒に歩んで行ける。きっと同じ楽園を見るんだ。

 

 

桃源郷、舞って 舞って。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

好きな本と、伊坂幸太郎について

好きな作家さんはいますか?

私が好きでたまらないのは、あの有名な伊坂幸太郎さんです。
 
 

本と私

私は小さなころから本を読むのがとても好きでした。
 
幼稚園で定期的にもらってかえってくる薄っぺらい絵本は、ボロボロになるまで繰り返し読みました。
その中で、今でも大好きな絵本が「そっといいことおしえてあげる」です。
 

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絵も、中に書かれている文章も、すっごくあったかくて優しい気持ちになります。

深く考えずに、そのリズム感や温度を楽しむ絵本だと思います。本当に大好き。

「あなたがうまれたそのときに、あなたのともだちもうまれたよ。おおきなおおきなちきゅうのどこかで、あなたをまっているんだよ。」

このワンフレーズは今でも諳んじることができます。これ、実家にあるものはほんとにぼろぼろなので新しいものがほしいくらいなんですが、どこかで買えませんかね・・・?

 

小学生のころは、図書室が大好きで頻繁に通っていました。大人向けコーナー以外はかなり制覇したと思います。
 
毎年、おばさんからの誕生日プレゼントはぐりとぐらの絵本でした。なので実家には、ぐりとぐらシリーズがたくさんあります。
 

www.ehonnavi.net

この作品の中で、ぐりとぐらが大きな大きなカステラを焼きます。

こんなカステラ作ってみたい・・・と妄想した方もたくさんいらっしゃるのでは。

子供心をくすぐる素敵なお話です。

 
少し大きくなってからもらったのは、「サンタクロースっているんでしょうか?」という、こちらもとても有名な本です。
そのほとんどが、ニューヨーク・サン新聞社の社説で構成されています。
非常に夢に溢れる文章で、言葉が美しくて、何度も何度も声に出して読みました。
 
※表紙をとると、赤い布地のハードカバーになっていて、私はそのビロードのような見た目がとても好きでした。
 
小学校高学年でハマったのはダレン・シャンシリーズです。
こちらも有名なので知っている方も多いのでは?
 

bookmeter.com

小学生の私にとってそれまであまり読んだことのなかったブラックな内容で、ぐいぐい引き込まれたのをよく覚えています。

中学生になって定期テストが始まると、目標を設定し、それをクリアしたら親にダレン・シャンシリーズを一冊買ってもらえるというルールで頑張っていました。

そんなわけで、実家にはダレン・シャンシリーズが揃っています。

 

ダレン・シャンに関しては、漫画化・映画化もされていますが、どちらもイマイチ。あの世界観を表現するにはかなりお金をかけてしっかり作らないと・・・と思いました。

特に映画なんか、1冊目のほんの序盤で終わっています。え???ここで終わり・・・?という感じでした。

小説の映画化って、なかなかうまくいかないですよね。

 

高校生になって、たまたま本屋で評判の良さそうなものを手に取りました。

それが、伊坂幸太郎さんの「オーデュボンの祈り」です。

 

bookmeter.com

読書メーターではあまり評価は高くないようです。私からすると驚きですが。

 

伊坂幸太郎、2000年のデビュー作です。

これを購入したのは本当にたまたまでしたが、読んでみるとすっかり魅了されてしまいました。
「オーデュボンの祈り」は、今でも伊坂作品の中で1,2を争うお気に入り作品です。
(ちなみに同じくらい好きなのはアヒルと鴨のコインロッカー。)
 

伊坂幸太郎の魅力

伊坂幸太郎の魅力は以下だと思います。
・物語の裏にしっかり書き込まれている伊坂氏の価値観や社会への訴え
・気持ちのいい性格の登場人物(特に女性は、サバサバした人が多いです)
・伏線の使い方。最後に迎える「そうだったのか!」の展開
・必要最低限の情景描写 
他にもいろいろありますが、大きくはこんなかんじかな。
 
何よりも、伊坂さんの価値観が私はかなり好きです。
オーデュボンの祈りなんかもそう。極悪非道な警察官が出てきますが、この男をしっかりと描くことによって、こういう悪に対してNOと訴えています。
 
逆に、動けないほどふくよかな女性が出てきますが、この人はとても心が綺麗な人。
こういう人と周りの人間の関係性もとても素敵に描かれます。
 
伊坂作品に出てくる人物は、「俺はこれをやりたいんだ」「これを大切にしたいんだ」と明確な意思を持っている人が多いです。すごくかっこいい。でも、気取っていない。
 
また、登場する女性が「~なんだってば。」「~なわけ。」という口調で話すことが多いですが、これもまたさっぱりしていていい雰囲気を出します。
情景描写よりも人物の会話や頭の中がじっくり表現されるので、人間性がとてもよく伝わってきます。
 

伊坂作品の映画化

伊坂作品は、頻繁に映画化もされます。
コンビを組む監督で一番多いのは、中村義洋監督ですね。この方は伊坂作品を非常によく理解しています。
 
いくつも映画を見ましたが、総じて、中村監督以外がメガホンをとった作品は、上記にあるような伊坂さんの旨みのようなものが全く表現されていないことが多いです。
中村監督は本当にうまい。伊坂作品にある独特の空気までしっかり映像化しています。
 
濱田岳さん、堺雅人さんも、伊坂作品の映像化には欠かせない俳優さんですね。
無理のない、主張しすぎない雰囲気が素晴らしいと思います。
 
伊坂さんは、ビートルズボブ・ディランも大好きですね。作品には必ずと言っていいほど登場します。
また、映画化の際、主題歌はシンガーソングライターの斉藤和義が手がけることが多いです。斉藤和義の作る曲はまさに伊坂さんの世界観にぴったり。
斉藤和義ビートルズが大好きですよね。
 
斉藤和義の曲には、伊坂さんが作詞に参加したものがあります。
「ベリーベリーストロング~アイネクライネ~」です。
 
伊坂さんファンなら知っているかと思いますが、もしもまだ聴いたことがない方がいれば、ぜひとも聴いてみてください。伊坂さんの小説を読んでいる気分になりますよ。
 
それもそのはずで、この曲を作るにあたって、伊坂さんは「歌詞を書く」のではなく「短編小説を書く」ことをしたのです。
小説家らしくて素敵ですね。
 

 大切にしたい感覚について

私は、日常が一番美しいと思っています。
毎日の夕日、朝早起きした時の美味しい朝ごはん、寝る間際にラジオから流れる優しいjazz、お母さんとの電話、こうして文章を書いている時間。
 
「何かをしなければならない」人生じゃなくてもいいと思うんです。
こういう美しい毎日を、美しいと思いながら生きていくだけで幸せです。
 
「毎日が美しい」と感じる人が、世の中に一人でも多くなるためになら、何かをしたいです。
 
伊坂幸太郎は、そんな美しい日常をしっかりと書き留めてくれる素晴らしい作家さんだと思います。